掃除、してますか?

建物管理者向け、悩ましい管理方法のヒントここにあります。

病院清掃とゾーニング

掃除、してますか?

衛生的じゃないと困る現場の代表に上げられることが多い病院ですが、病院内は病気の人が多いわけなので雑菌というより病原体汚染があるんですね。感染したら怖いから衛生管理は重要なんです。

実際どんな風にしているのでしょうね?

 

お見舞いに行って清掃員を見る事がありますか?

あまり見かけないのではないでしょうか。

 

清掃作業員そのものの存在が不衛生と見られてしまうので、客室に清掃員がいる事は稀です。

 

病院の現場には約束事がいろいろあります。

 

まず衛生管理レベルの区分けがあります。

これは最も衛生的でなければならない場所と、非衛生的な場所をしっかり区別することで、人や空気の往来、物品の流れなんかも規制しています。すごいですね~。

 

では一番綺麗な場所ってどこでしょう?わかりますよね?手術室です。

院長室と答えた方、少し疲れがたまってますよwww

 

雑菌や院内で処理した汚物などが手術室の片隅にあるとか、執刀医の通路に喫煙所があるとか、考えただけでも恐ろしいですよね?

 

一番汚いのは医療系廃棄物をふくむ廃棄物ゾーンです。バイオハザードマークの入っている専用の容器で廃棄される内臓や血液汚染された布や注射針など、危険な廃棄物がたくさん出ます。これを廃掃法もしくはビル管法にしたがって一時保管場所に保管しなければなりませんから、そこが最高にやばいゾーンです。

 

その間に、客室とトイレが存在します。

 

同じフロアに客室もトイレも存在しますが、これを隔離するわけには参りません。

衛生的に使えて、清掃できる仕様で作られている事が多いのです。一般のトイレと違って、ナースセンターの隣あたりにあることが多いですよね。

 

この区分けの事をゾーニングと呼んでいます。英語にしただけですけどね。

 

医療の現場では衛生と不衛生を区別する独特の決まりがあります。それを現場管理に当てはめた考え方が病院清掃というカテゴリーを生んだのですね。

 

よく講習会で話される事ですが、皆さんが受ける注射の話で、アルコールの脱脂綿をナースがピンセットでつまみますよね?あれで出てきた脱脂綿は既に不衛生のゾーンだそうです。容器から出た瞬間がその分岐点ですから、余計に出してしまった分は不衛生なので元の容器には戻せないルールです。

 

ごみ置き場の空気が手術室に入り込んできたら困りそうですね?

病院では空調もゾーニングで管理します。

特に衛生的な環境にしたい場所には特別なフィルターを付けた清浄機を使い、雑菌や病原菌に汚染されていない空気を補給します。部屋は陽圧(正圧)で保たれ、人が出入りする通路からの埃や雑菌の侵入を防ぎます。

 

清掃従事者はこういった仕組みをよく理解する事も重要ですが、一番重要なのは日々の業務ルールです。

 

まちがって普通のごみにドクターが注射器を捨てるかもしれません。

針刺しの事故は全然減らないそうですが、一生治らない病気をもらってしまう事だってあるんです。

ルールでは、廃棄物は容器ごと搬送し、ビニール袋と取り出す際には身体から離しながら作業し、針がある前提で気をつけることとなっているはずです。

しかし普通の病室を回り、先生のデスクからゴミ箱のごみを一緒に回収しても、そんな事になろうとは誰も思わないんですよね。で、事故る。

 

また、床の清掃では白癬だとか結核だとかの危険を考慮すれば、特に強い消毒薬を使っていつも滅菌していなければなりません??と思いがちですが

これも間違いのようです。

院内通路のレベルは通常のビルとほぼ同様の環境です。それを病院だから完全にしなければならないというのは間違いなんですね。

計算された頻度や方法をしっかり守って清掃していれば大丈夫なのです。

そもそも清掃に使われている洗剤には界面活性剤が入っていて、ほぼ消毒できてしまいますし、菌やウィルスのほとんどは汚れや埃を媒介して留まっていますから、綺麗に洗浄すれば除去できるのですね。

また我々の使命、役割としての清掃と、ナースが管理する衛生管理とは別物です。

いくら病院清掃のプロだからといって、ナースが行う消毒行為はビル清掃諸氏の行為とは別物なんですね。

 

ここから少しヒントをもらって現場やご家庭に生かしていただけると幸いです。

 

僕の現場でこんな事がありました。

あるフードコートのオペレーションでの出来事です。

スタッフがお客さんに声をかけられました

「あなた、それじゃ糞も味噌も一緒じゃないの。椅子を吹いた雑巾でテーブルを拭くのはおかしいと思わないの?」

はい、そのとおりですね。私たちはつい、床を拭く雑巾でテーブルを、便器を拭いた雑巾でドアノブを、拭いちゃうことがあるんです。

この事をきっかけに、僕は現場の雑巾色を分け、洗濯機や管理方法、保管場所などといった扱い方を分けました。

真っ白なタオルはお客さんの衣服が濡れた時用に各自持たせました。

最近は当たり前になってきましたが、トイレは赤という会社が多いようですね。

用具のメーカーも色分けできるシステムを作ってくれましたし、よく現場に目を向けてくれていると思います。