オーバースペック(2)
掃除、してますか?
前回は過剰な仕様の存在について書きました。
仕様書基準に書かれている内容は 場所(対象)と 頻度(回数)が主な内容です。
別添仕様書というものがある場合は、やり方などの詳細が記入されています。
仕様基準の回数が必要以上だった場合やりすぎなわけですが、どれくらいが適正なのかもわからないと思います。
新宿駅のトイレを一日何回掃除するのが適正でしょうか。
いつも臭くて汚いイメージの公衆トイレですが、仕様では1時間空けずに清掃したりしています。
それでも使用者の攻撃に負け、異臭を放ち、状態はよくなりません。
これは清掃頻度や方法の問題でありません。使用者と使用頻度の問題といえるでしょう。
ビルのトイレの数というのは、従業員の人数に応じて望ましい数が設定されています。
しかし、公衆の駅や百貨店における使用頻度はその想定をはるかに上回ってしまいます。
トイレの数を今の10倍にすればあるいは頻度と管理のバランスが保てるかもしれません。
さて、オーバースペックです。
頻度もやり方も「やりすぎ」であること。
気づかないうちに、このやりすぎに巻き込まれてしまうことも多いんです。
たとえばホテルの場合、トイレなどの順回数は非常に重要です。必ずしも清掃が必要ではありませんが、清掃員やスタッフが点検をする必要があるからです。
清掃の仕様基準書にこの「点検」が含まれることが多いと思いますが、これは汚れに対する業務上の点検ですから、ホテルの安全点検であれば安全管理担当や、ホールスタッフなどが行うべき業務となります。
むずかしいですよね。点検。
点検していると、異常に気づいてしまいますから、当然報告します。次第にこれが本業となってしまうのです。
厳密に言うと、警備業の仕事になるので、ただの清掃員はやってはならないことだったりします。
顧客誘導とか、雑踏警備とか、駐車場誘導なんか清掃員は手を出してはいけません。
きちんとして教育を受けて資格を得た人が委託を受けて行う業務ですから、頼まれたからって簡単に引き受けてはだめですね。業法違反になっちゃいます。
この点検業務、20回も入っている仕様書だとすると、おおむね30分に一度は点検してることになりそうです。どこかのリゾートでトイレの前に立っている係員みたいですよね。
日本の場合はそんなスタッフは居ませんが、これを仕様に入れて監視目的で契約する事業主も居ることでしょう。
どうでしょう?仕様はオーバースペックになっています。清掃としては必要じゃないんでしょね。
本来の要求事項ではない業務に就かされてしまうこと、多いですよね?
清掃員は小間使いじゃないんだぞ!!というような言葉をよく耳にします。
反対に、業務外のことを行って感謝されるシーンも目にします。
しかし、計画的に目的外の役割を背負わせるのはいかがなものでしょうか。
爆弾を仕掛けられたという情報があったら、清掃員は普通避難させられます。
しかし都合よく不審物を見回ってくれと点検を依頼されてしまうのです。
たかが掃除ですけど、意外とめんどくさいことにかかわっているのかもしれませんね。
仕様がおかしいと思ったら、よく確認したほうがよさそうです。