ねずみ博士とダニエル君
掃除、してますか?
猛暑が続きますが、人間はこの暑さにやられてつらい時期ですね。都会の大きなビルで、レストランや食品店が入居しているところにはねずみがたくさん居たりしますが、このねずみたちも気候の変動に敏感です。
暑い、寒いはみんな同じなんですね。
彼らを飼育していろんな環境においてみることでその生態を研究している会社さんが千葉県にあります。何度か見学させていただきましたが、ねずみ博士という異名を持つ先生が代表して研究されています。
この会社さんはここで得たデータを活かし、都会のねずみたちの行動を読んで駆除方法の技術を磨いています。
ねずみたちはどこにでも巣を作って繁殖しますが、壁の中や、長いこと動かない物の下などが多いようです。
都会のビルは快適です。我々が快適に保っているんだから当たり前なのですが、皮肉にもねずみにとっても快適環境なのです。
灼熱地獄のアスファルトから、エアコンで空調された快適空間へねずみたちは移動し、住み着いています。
彼らはどこかからやってきて、いつの間にか大繁殖します。
入り口となるのはちょっとした隙間だったり、玄関や駐車場、下水配管なども潜って浸入してしまいます。
到来することを完全にシャットアウトできれば、彼らに悩まされることはありませんが、人間が出入りすることが出来るということは、彼らも出入りできるということかもそれません。
夏のねずみですが、どんなに快適なビルの環境でも、深夜まで快適を維持しているビルは少なく、エアコンが切れたあとは彼らもぐったりしていることがあります。
視力の弱い彼らは、だれているときに僕たちに見つかっても気づかなかったりします。音を立てることでハッと我に返って逃げ出すなんてこともありますね。
夜間の清掃をするスタッフはそんな場面を目撃することもあると思います。
ねずみはダニを身にまとっていることが多く、ねずみの居るところにダニあり。です。
このダニは「イエダニ」という種類で、ねずみをチューチュー吸ったり、(俗称)コナダニを捕食したりします。コナダニはほこりの中に多数存在して、目に見えないレベルですが人や動物の皮膚から落ちた垢などを餌に増えます。布団に住み着くだにはその類です。
これを放置するとイエダニの格好の餌になって、どんどん環境が悪くなり
ます。
ですから埃は掃除しないといけません。
イエダニやツメダニというダニにやられると1wほどかゆくてたまらないわけですが、やられた直後は症状がありません。
外出先でやられて、家に帰ったらなんとなくかゆい・・・これがダニの被害の特徴です。ですから、家に居てかゆいからと言って、家にダニが居るということでもありませんので、向きになって殺虫剤をまかなくてもいいかもしれません。
僕の会社ではこのダニのことをデパチューとかダニエルとか呼んでいました。
ねずみがいそうな場所に行ったら、数時間後にかゆくなることがあります。時間をさかのぼって心当たりを探ってみるといいでしょう。
ダニ類は意外にも殺虫剤に弱い生き物です。いると思われる場所にまけば効果はあります。
疑いの濃い場所に言った場合、ダニを家に持ち帰りたくないですから、ズボンのすそをはたくなどしてみるといいですよね。
ではここで僕が学んだねずみの行動パターンをすこしご紹介します。何かの役に立つといいですね。ねずみがたくさん居るところはダニが居ますし。
まず、ねずみの巣です。
ずばり、厨房のあるフロアに居ます。また食品倉庫、お肉屋さんの床下などの実績が高いです。こんなこと書いたらお肉屋さんに怒られますが、実際、ビルに入っているお肉屋さんの店頭や厨房のねずみ繁殖率は高い。
彼らは食べるものがないフロアには繁殖しません。出没することはあっても、それは通過や観光に過ぎません。餌があるか無いか、生きていく環境としてふさわしいかを見に来ているのです。
ビルに入っている店舗は、その限られた環境で商売をしなければなりませんから、床にすのこを敷いたり冷蔵庫の上にものをおいたりしています。
整理整頓して、食肉向上のようにきっちりやりたいところですが、そんな風にしている店舗はありません。
ちいさくちぎれたお肉の破片がすのこの下に落ちます。空冷の冷蔵庫の熱交換器周辺にダンボールがあります。営巣してくれといわんばかりです。ねずみたちにとっては楽園となってしまいますね。
ラットサインという言葉を聞いたことがある人もいらっしゃると思いますが、店舗内にこのサインが出ているのをたくさん見てきました。
営巣されている場合、何度もそこを通りますから、ラットサインも次第に濃くなっていきます。一度雑巾で拭いて見て、まだサインがついてくるようでしたら奴の通り道ですから、捕獲の算段をしたほうがいいでしょう。むやみに通り道をふさいだりすると、どこかに移動されてしまうので、見つけたら確実に捕獲したほうがいいと思います。
このねずみですが、普段は物陰でじっとしてます。人が歩く音や、気配があると隠れているんです。
しかし我々管理チームの出番となる閉店後、彼らもいっせいに行動を開始します。
20時ごろ閉店するビルだと、社員が片付けなどで21時近くまで居ることが多いですが、この社員が帰るころに奴らはいっせいに出てきます。
防犯カメラの映像でも確認できますし、警備担当の職員はみんなよく見ていますよね。
ちょっと箇条書きにしてみますね。
・デパートやスーパーのねずみは、社員が帰ると出てくる。
・ラットサインの濃い場所から出てくる。
・ねずみの足の裏は汚れていて、粘着シートの上を歩いてわたってしまう。
・部屋の隅を歩くことが多い。
・環境に大きな変化があると用心して出てこなくなる。
・超音波にも慣れてしまえば通過される。
・げっ歯類は歯が伸びるため、いつも何かに噛み付いて研いでいなければならないため、何でもかじってしまう。
・目が悪い。
・意外にも大型のドブネズミはクマネズミに弱い。
・上層階まで侵入するのはだいたいクマネズミ。
・ミッキーマウスはクマネズミがモデル。
・毒餌や超音波にやられない「スーパーラット」なるねずみが出現している。
・都会のねずみは既に荒川や江戸川を渡り、首都圏全域に生息している。
・ねずみの糞は「ねずみもち」の実によく似ている。
・直径1センチの穴から進入することもある。(よくある)
最初は外からやってきますが、一度侵入を許してしまうと鼠算といわれるように繁殖しますから、侵入を阻止することが重要となります。このことは各業者さんも力を入れているところだと思います。
しかし、入ってから被害が出ますので、いる相手を何とかするほうが先になります。
昔はねずみが出れば毒をまくのが常套手段だったこともありますが、現在は有毒な化学薬品を社会に撒き散らす行為は法律で取り締まっていて、簡単に殺鼠剤を配置するわけにも行きません。
どんな薬品をどのくらい、どこに配置するか。これは重要な問題ですね。
毒薬を配置するのであれば、しっかり管理された方法で無ければなりません。
住人側が出来ることは、衛生的にすること。ものをおかない。住処を提供しない。餌を提供しない。これだけです。
毒を配置したり、捕獲シートを使用するのはプロに任せて、衛生環境を維持しましょう。
今はそこらじゅうに散らばっているねずみたちも、寒い時期には限られた快適環境に終結します。捕獲や殺鼠は季節的に寒い時期を狙ったほうが効果が見込めます。
まとめますと
ねずみは外から入ってきますから、阻止したい。穴などはふさいでおきましょう。
繁殖してしまうので、餌となるものを片付けましょう。
ねずみは快適な環境(暖かい場所)を好みます。営巣場所を提供してしまわないように片付けましょう。
ねずみにはダニがついています。被害にあったらねずみを疑いましょう。
埃の量とダニの量は比例します。掃除しましょう。
ダニには殺虫剤、ズボンのすそをはたきましょう。
クマネズミはたてに移動します。PSなどの縦穴で移動することが知られていますので、穴を徹底的に塞いでおく事をお勧めします。
清掃班諸氏は目の前を歩くねずみにどうすることも出来ませんが、せっかく塗ったワックスの上を歩かれてはたまりませんよね。
食品残渣などの厨房清掃は一般ビル清掃の仕事になっていません。清掃員が厨房に出入りしたことによる食中毒発生などといわれる冤罪がありますので、専門チームの派遣が必要です。
歯がゆいところですが、プロにお任せするしかないというところです。
なんだかまとまりの無い話になってしまいましたが、ねずみの被害はなくなるばかりかどんどん増えています。みんなで力を合わせて管理しましょう。