掃除、してますか?

建物管理者向け、悩ましい管理方法のヒントここにあります。

現場と経営

掃除、してますか?

 

現場を軽視されたり、仕事を蔑視されたりしませんか?

たかが掃除。ビルメンの現場では設備や警備などを受注して、仲間がいることが多いと思います。

清掃にしても設備管理にしても、それほど重要視されているようには感じません。なぜなんでしょう?

 

答えは簡単で、「当たり前だから」です。

 

普通、夏には涼しくて冬は暖かく、中にいる人は快適なのがビルというものだからですよね。

ビルは快適なのが当たり前です。誰もその管理者労働者の苦労や技術に裏打ちされた誇り高き業務のことなど知りもしません。

そこにどんなドラマや苦労や感動があろうとも、住人や経営者には関係ありません。

 

いつもネズミやゴキブリと戦って、下水道の配管を修理して、溢れたトイレの始末をする人たちの事を「汚い仕事をする人たち」とみて、蔑んでいるのです。

 

こういうと元も子もありませんが、実際にわざわざ東大を卒業してトイレの清掃を生業とする人は少ないでしょう。

 

 

ビルメンの経営者にとって、今日の日本の清掃業務は下げ止まりで、これ以上無い「儲からない仕事」に成り下がっています。

ビルメンはスーパーマーケットと同様に高度成長期の人口増、所得増、価格高騰にくっついて伸びてきた商売です。

現代の不景気と少子化がその成長を阻んで久しいというところです。

ですから今後、よほどのことがない限りこの業界が急成長することはないと思われます。

このことも業界人が下に見られる一つの要因かもしれませんね。

 

有名な業界誌にも連載があるようですが、現場でのおもてなしや心構えを教えてくれるありがたい情報が溢れています。

これを実践すれば我々の地位が向上するかのごとく、ビルメン業界は必死です。

じゃないとやり手が減って、せっかく安く受注した物件も捌けません。

 

ビルメン経営や業界では必死で我々の地位向上を求めて手を打っているように見えます。お辞儀は深く、笑顔で会釈、制服はきちんと着用、気を使いましょう・・・

 

ディズニーランドのカストーディアルが引き合いに出されることが多いと思います。

彼らは我々ビルメンの最先端であり、見本であるといっても過言ではないでしょう。

研修という名のディズニー詣もよく聞きます。

 

パークのことは詳しくありませんが、カストーディアルは清掃担当で、ビルや集客施設を掃除するビルメンのスタッフと何も変わりません。

なのに最高のクオリティだ、彼らを見習え、あんなふうにできたらいいのに、ああいうふうにできないものか・・・・となってきますね。

 

いろんな書物に記されているので、僕がここで書いても問題ないと思いますが

ディズニーランドは清掃担当も自社が直接雇用する仲間で、外部委託されていないんですね。

 

夜行われる定期清掃や、植栽を管理する一部のキャストを除き、ディズニーの仲間は同じ所属なんです。

アトラクション完成時の試乗会などにはこの仲間たちやその家族が招待されるのは有名な話ですね。

ディズニーでは、働く仲間をファミーリーに見立てて大切に扱っているんです。

 

パーク内にいるキャストはみな仲間だということが他と違うところです。

 

多くの施設は外部委託契約でビルメン業務を委託しています。

 

実はこのことは重要です。

仲間じゃないんだから、適当な扱いでもいい。

こんな簡単なことが我々の地位を貶めているんでしょうか・・・

 

昨今、人材派遣のスタッフが酷い扱いを受けて問題になったりしていますね。

なぜでしょう?仲間じゃないからなんです。

 

組織は目的や目標があって、そこに向かって協力して行くものです。

 

業務を切り取って他社に委託している場合、その先にいる人達の目的は所属会社のものになりますから、時間が来れば帰りますし、お客様の対応とか「不要な」スキルの持ち合わせは無いのです。あっても仕事で発揮する必要はない。

 

ここに大きな矛盾を感じませんか?

 

業界は我々のマナーやおもてなし、見た目やお辞儀やその他諸々をディズニーのようにやらせればいいと。

 

しかしどんなにスーパーな清掃員が現れても、現場からの「不要な」要求に答えられなければ、ただの清掃員なんです。

 

清掃会社を経営している会社の目標や企業理念、行動倫理こそがスタッフとなる従業員の目的であり目標、そしてやり方なんです。

 

ディズニーのようにやれという会社に入ってしまった皆さんは、一度考え直してみてはいかがですか?

 

経営者の方は現場に合わせることだけが仕事ではなく、お客さんのニーズというものを自らの手で創り上げ、提案し続けることで仲間たちと魅力ある企業風土をもって充足される達成感を味わってみてはいかがでしょうか。

 

ハンバーガーショップでも、街のラーメン店でもやってます。

「美味しいハンバーガー、あります」と。