掃除、してますか?

建物管理者向け、悩ましい管理方法のヒントここにあります。

廃棄物処理できてますか?

掃除、してますか?

掃除するとごみがでますよね。これは廃棄物です。

廃棄物には廃棄物を扱う法律が別に儲けられています。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法:以下廃掃法)といいます。

ビルの掃除はこの廃掃法にあまり触れませんが、もっと触れるべき法律だと思います。

 

ビル清掃では床を掃除した

り、窓を拭いたりします。この行為はビル管法の縛りで発生していますから、廃掃法のことを知らなくても成り立っていることが多いのですね。

 

ビル清掃の人はごみを出す側で、受けて処理したり処分したりしません。ここが一番違うところでしょうか。

 

この廃掃法、目的はビル管法と似ています。

ごみを減らし、正しく処理することにより生活環境の保全および公衆衛生の向上を目的としています。

法律の目的を達するために各自治体は条例を設定して管理しています。条例違反には営業停止や資格剥奪などの重い罰則があります。

 

カレー屋さんの冷凍具材を廃棄したところ、廃棄物を扱う業者がこれを転売するなどしてこの法律に抵触した事件がありましたね。

これは千葉県での出来事でした。

そもそも廃棄物なのに、食品として販売したら「ごみを食わされる」ことになりますよね。こういうことが起きないようにするための法律といえましょう。

 

僕の身の回りでおきた事件をひとつ紹介します。

ある廃棄物収集運搬、中間処理業の会社さんの話です。

業者さんはプラスティックなどの中間処理を行っていました。廃棄物を収集して、熱をかける等して固形燃料を生成、燃焼炉を持つ処分業者(燃料として買い取る)に処分する方法を行っていました。

よい燃料が出来ることや、廃棄されてくる材料がリサイクルされることが望ましいので、この業者さんも日々研究を行っていました。

ある廃棄物が、プラスティックのラインに混ぜればいい材料となり、リサイクル率の向上や法律の骨子である環境の保全にもつながると見て、固形燃料化のテストを行っていました。

その廃棄物はゴム系のもので、収集後破砕して減量を行うものの、そのまま埋設法と呼ばれる方法で地中に埋められていました。

業者さんは、この廃棄物が燃やせてサーマル式リサイクルできるのではないかと考えたのです。

ある日、このゴムのテストピースを有償にてドラム缶で譲ってもらい、廃棄物とは分けて保管、テストを待っていました。

そこに、県の抜き打ち査察がやってきます。査察は珍しいことではなく、件の事件からポピュラーで厳しい監視が行われています。

当日、責任者が都合で外出、管理用のPCが不調を起こしており、査察を受けるには現場の担当者しか居らず、役不足の状態だった。

このことは、後に「管理者不在」の罪になってしまいました。

査察官の指摘はこうでした。

1、廃棄物保管が正しく行われていない

2、収集した廃棄物の量が正しく計上されていない。

3、文書記録が見れないなどの査察妨害があった。

4、虚偽報告があった。

こうしてこの業者さんは業務停止命令1ヶ月の処分を受けました。

 

保管が正しくないというのは、廃棄物として受けているものと同じ荷姿のものが駐車場においてあったということ。これはテストピースとして買い取ったもので、領収書まで用意されていましたが、査察官の指導では廃棄物の一部として扱われました。

理由は「同じ荷姿であり、伝票上の量の記載が間違っている」

同じ車で運んできてしまったため、量を測るときには車ごと測ってしまったというのです。これでは廃棄物として扱っているのと同じになってしまいます。

しかし伝票にはしっかり分けて記載し、廃棄量とサンプルを分別しておいたのです。

このことも「偽りの報告」と位置づけされてしまいました。

PCが壊れていたため、速やかな査察対応ができず虚偽報告、管理法違反となれば処分は当たり前です。

 

業者さんが故意に違反行為を行ったわけではありませんし、むしろ法の骨子に基づいた技術向上を計画しただけです。

 

それでも査察官は違反と受け取れる以上、違反であると位置づけました。

 

なんと理不尽な事件でしょうか。

 

廃棄物を扱う業者さんの中には、件のような悪徳業者が存在することも事実で、これを取り締まるためには手厳しいやり方も必要なようです。

 

ごみと言ってもひとくくりにはできませんね。

 

何気なく暮らしてる身の回りのものたちが、どこでどんな処理されてるのかなんて、なかなか知る由もありません。

 

 

さて、ビルメン諸氏はいかがでしょうか。

ちょっとくらい不燃ごみが混入していても、リサイクル向けのプラスティックが混入していても、一般廃棄物の中に入れてませんでしょうか。

 

家庭ごみと事業系廃棄物では扱い方が違っています。

東京都の家庭ごみは税金が投入されて、燃焼炉で償却され、東京湾の処分場(中央防波堤)に埋められます。行き先は同じでも、家庭ごみと違って事業者はこの処理費用や処分費用を支払わなければなりません。

儲けを出すために出される廃棄物は事業主の責任が重く、違反すれば出した事業者の罪になり、悪質な場合、社長が逮捕されるなどの事件になります。

 

東京都の場合、リサイクルに向かないプラスティック製品を回収してもリサイクルできないため、リサイクルできるプラスティックだけを回収しようとしています。現在その実験段階だと聞いています。

回収してもサーマル化計画に基づいて焼却処分されているのが現状です。

よほど綺麗な状態で成分も揃っていないと、生まれ変わるためのリサイクルには向かないのですね。

日本のリサイクル技術は優秀ですが、よい材料となるごみを正しく回収できないと機能しないんです。前記の事件では、ほぼ正しく扱われていた廃棄物もリサイクル用に引き渡して完全別扱いしなければなりませんでした。むしろ、リサイクル目的で扱ってはいけませんでした。

 

分ければ資源といいますが、これはごみを出す人がやらなければ達成できない目標なんです。地域自治体は非常に簡単な分別をお願いしているに過ぎません。

 

 

「ごみは入り口」僕が作った標語です

 

ゴミ箱に入れるその瞬間、そのごみの運命は決まってしまいます。

 

東京都は誰でも申し込めばこの廃棄物処理場の見学が出来ます。

夏休み、研究課題として一度足を運んでみてはいかがでしょう。

 

「中央防波堤見学:検索」でどうぞ。