やらせない
掃除、してますか?
今年は大型の台風が次々押し寄せて本当に大変です。
被災すると片付けなければならない仕事が大量に発生しますが、これのほとんどは清掃です。たかが清掃、されど清掃ですね。
さて今日は「やらせない」というテーマにしました。
視察していると、現場毎にいろんな常識があってそれぞれの理屈があるんですが、いつも心に隅に引っかかってしまうこの「やらせない」がつきまとってきます。
こんなことがありました。
地方のある大型商業施設の視察をしていたときのことです。
担当の主任さんにお断りして、朝から現場に入りました。商業施設ですから入館手続きなどは事前にお願いしておかないと入れないので、前日から乗り込んで昼間の状況を確認しておいて、入館などの手続きをお願いしています。
しかし、当日の朝入れないんです。防災センターの警備担当に身分を名乗ってあちこち電話してもらい、なんとか入館。危うく出張初日を棒に振るところでした。
自分たちの仕事ぶりを偵察にこられたんですから、邪魔したい気持ちはわかります。でもそこは発注者にお願いして入り込みました。
まずは出勤の様子を見てみます。
慣れた様子のスタッフが次々に出勤してきます。見慣れない私がバインダーなんかもって立っているから、新人と勘違いして声をかけてくれる人もいました。(なんと暖かいんだろう)
資材置きばに向かうスタッフを眺めていると、やはり一番多いのはトイレのスタッフのようです。
それぞれ雑巾などが入っているバスケットを手に現場に散っていきました。
エスカレーターの担当は直行のようです。
トイレの一人についていきました。
慣れているようで、動きに無駄がありません。すし屋の握りを創造するような流れる動作、素敵ですね。
しかし洗面器を清掃するその人がなかなかそこを離れないんです。
「Aさん、だいぶ汚れているんですか?大変ですね」
「いえね、本当はこんなこといたらいけなんですけど、これ家から持って来てみたんですよ」
そういって見せてくれたのは台所の洗剤でした。
・・・・・
「所長の指示通りにやってるんですけど、それだとなかなか落ちなくて時間が足りなくなっちゃうでしょ。だから内緒ですけどこれ使って見たんですよ。この汚れ、なんでしょかね?口紅みたいですけど、なかなか落ちなくて・・・・」
「え、専用の洗剤無いんですか?」
「ええ、所長はこの雑巾でごしごしがんばって落とせというんで、頑張ってるんですけど、こういうのはなかなか落ちないんですよ」
「・・・・・」(驚愕の事実に大きな口をあけて固まってる)
「すいません、ここはあとでまた掃除しにきますから、次に行きますね。おわらなくなっちゃうんで・・」
こういうとAさんは隣のトイレに向かいました。
明らかに口紅でしたが、まさか洗剤を使わないという・・・・・
のちに会議でこの件を確認して見ると、トイレ掃除で洗剤を与えると、間違えて事故になることが多いのでそうしているといいます。
こすってた雑巾も、硬いスポンジを与えると傷を付けてしまうことが多いから使わせないんだそうです。
エスカレーターの道具もほぼ雑巾でした。
ここは10年前の中国か?
もちろん指導して改善提案は行いましたけど、直るとは思いませんでした。
人の教育やマニュアルが重要だといつも話していますが、これほどまでに全否定されていた現場があったとは驚きました。
出来ないから教えるのではなく、出来ない人にはやらせないんです。
教える人が教える仕事もやらせない。会社は従業員を雇用して仕事を与えますよね?やらせるのが普通だと思ったんですけど・・・
愚痴になってしまいますが、本当のことなんです。
昼の清掃を点検して、町にある100均でクレンザーを購入。翌朝Aさんがまた同じ洗面器をこすっているところにいって、僕が直接清掃して見せました。
なぜ、効果的な方法をやらせてもらえないのかも教えておきました。
Aさんはそのクレンザーを欲しがりませんでした。なぜなら「所長に叱られるから」
後味の悪い現場でしたが、こんなことが現実でしょう。
適材適所
掃除、してますか?
「我こそは掃除のプロ」と豪語する方もいらっしゃると思います。
向いてるんですね。それでいいと思います。
そのプロに聞けば、大理石の色で管理方法が異なるとか、ダイヤの番手よりパウダーだとかいろんな薀蓄を聞けます。専門家はその分野を掘り下げてくれますから、話を聞くと楽しいですよね。
今回のお題は「適材適所」としました。
そんなことはわかってるよといわれそうですがいかがでしょうか?
僕が勤めた会社で、昇進試験のときに学ぶんですが、4つの学習スタイルというのがあります。
人を大体の傾向で分類して、その特徴にあわせて指導する技法です。
詳しくはネットでググって欲しいのですが、受動型か能動型かという判別と、理論か行動かという判別を掛け合わせて4つのゾーンに振り分けます。
受動型で理論派の人は座学でいちいち学習したほうが理解でき、能動型で行動派の人は、いきなり現場でOJTを受けたほうが入りやすいそうです。
あなたはどうですか?
ひとにはいろいろな個性が存在します。
内気であまり人とかかわりたくない性格、みんなでわいわいやりたいひと、性格にこなすことが正義な人、だいたいできればOKなひと。
適正な任務についていないといろいろと都合が悪いようです。
だいたい社会における職業選択もそこがまちがっているかもしれないですね。
政治家に向かない人が政治家になってるし(笑)アフリカの原野で飛び跳ねている人がオリンピックに出ない。
いつも逸れてすいません。
得意のディズニーで先輩が話してくれたことを思い出してみます。
たとえばあのジャングルクルーズでガイド役をしてくれるキャストの人が、駐車場やチケットブースに入ったらどうでしょう?笑顔でゲストに向かってパフォーマンスを繰り広げて、バックステージに帰ればその日のゲストの喜び方をみんなに自慢するキャストです。
来る日も来る日もチケットブースで正確にお金を回収して「いってらっしゃ~い」しか言わないポストについたら、せっかくの持ち味を殺してしまいますよね。
反対に、チケットのひとはゲストコントロールやシンデレラ城には向かないのです。
一人ひとり、性格にお金を徴収して間違いなく受け付ける。黙々と同じ作業でも続けられる忍耐力と集中力が必要なセクションです。ため息ひとつつく暇はありません。延々と続くゲストの列をこなし続けます。
ひとには得意技というものがあります。
もちろん本人の希望もあります。
希望と現実が合わないときは不幸になりますから、テストや評価をするべきです。
そしてそのチャンスがあるべきです。
もしかしたら僕は総理大臣に向いているかもしれないし、アメリカの大統領に向いているかもしれないのです。(笑)
企業内、チーム内においてこの適正を正しく運用することは顧客のコストを無駄にせず、よりよいパフォーマンスを発揮するために必要なスキルです。
そのためには、別に書きますが「教える仕組み」が重要です。
教えても出来ない人がいます。根性論でその人に無理やりやらせていたらお互いに不幸ですね。
まえにも書きましたが、会社の理念を分解して最も具体化したものが現場のマニュアルでしょう。
マニュアルは大事です。なんでもマニュアルにこだわってつまらないとか、馬鹿らしいという方もいらっしゃいますが、そういう人の虫の居所を外見で判断することは神でも出来ません。
いかがですか?自動床洗浄機の運転に教育と試験制度を導入しているビルメンさんもあります。安全第一ですね。試験にこだわることなく、適材を適所に。
外部委託の信用失墜
掃除、してますか?
こんにちは。これをかいている今日は敬老の日です。
朝、外に出てみたら避暑地に来たような空気感でした。車が少ないからでしょうか、いい空気です。綺麗な空気は気持ちいいですね。何事も綺麗な事はいいことです。
今日のタイトルは外部委託についてです。
一般的にお掃除や設備管理の業務は外部委託するのが多いと思います。
専門性や生産性を考えるとそのほうが効率的だからです。
パソコンで仕事をする人たちが、つきにい一度床洗浄を強要されたら品質はおろかけが人まで出そうですし、マネージャーがボイラーソルトの補充を行っていたら水質に問題が生じて壊れそうです。
ビルの管理はほぼ「ビル管法」の要求によって組み立てられています。このことをご存じない発注者の方は意外に多いです。
ビルや一定のエリアを有して会社を運営する立場の人は、その環境を衛生的に維持しなければなりません。それが集客施設であればなおさらです。法律ではそういった人が集まる場所は特に厳しく管理することを求めています。
ですから、出したくも無いコストをかけて外部の掃除屋なんかに仕事を出さなければならないのです。
言い方が悪くなりましたが、発注者さんは総じてそう感じておられると思います。
「必要でもない、お金を生むでもない、至極簡単な作業に、自分たちが汗水たらして稼いだお金をかけられない」こんなふうに思っています。
掃除をして綺麗にすることで事務所が活発になって士気が高まり、生産性があがるという考え方はありますし、アメリカの企業などは働く環境と生産性を科学することでちょっと知られています。
しかし、掃除すると儲かる。ということはありません。
現在の日本では、直接儲かること意外にお金をかけてまで環境改善なんかする会社はありません。あっても超少ないでしょう。
しかし、特別管理(集客施設)が要求される建物の維持管理には必要であることは間違いなく、衛生管理や設備管理の高い技術力が不可欠だし、なんならそれこそが集客施設のもてる力であるといっても過言ではありません。
いかに快適で、いかに衛生的か。
このワードは本来はずせません。
しかし、主客施設の主たる目的である野球観戦や映画鑑賞、お買い物といった事業に直接的に環境は含まれていません。もちろん良いに越したことはないし、発注者も来場者も「あたりまえ」だと思っていることでしょう。
ちょっと脱線しますが、得意のディズニーが評価されて久しいのはカストーディアルキャストの存在です。また、あまり知られていませんが後方を守るキャストの存在。
かのテーマパークはほぼビルメンの活躍によってゲストの期待に応えていると言ってもいいでしょう。あの環境を作り出すためのコストは半端な額ではありません。
さて、外部委託とコストの関係です。
現在、日本の企業はみんな不景気です。そうじゃなくても不要な経費は削減しないといけません。そこで簡単に清掃費や管理費を削ります。ビルメン諸氏はみんな困る。
こんなことがだいたい今のビルメンを取り巻く環境ですよね。
ある大手ビルメンの経営者の方にお話を伺う機会がありまして、そこんところ聞いてみたんです。
社長曰く、「掃除屋なんかやってても駄目ですよ。この仕組みで儲けようと思ってももう無理でしょう。」
そうおっしゃって、多角経営のお話をされました。実際、いろんなビジネスを始められていて、さすが経営者は違うなと感じました。
お話の内容をわかりやすくするとこうです。
「掃除を発注している会社さんもみんな不景気で、我々も過当競争に陥っている。価格を下げれば成り立たないし、高ければ他にとられる。やり方や技術力、規模なんかが足りない小規模企業さんの現場はまだ埋蔵金が眠ってることがあるため、そういう企業さんが倒れそうなとき、我々が一緒にやり直すことでお互いの利益を確保するような仕組みでやってきた。所謂M&Aですね。しかし、これをやると自分の規模がどんどん膨れてしまい、システムや管理が追いついていかない。そのシステムに数億のコストをかけて立て直してみたら今度はそのコストを現場に求めなければならない。我々も必死なんですよ。もう掃除ではやっていけない。」
ビルメンが窮地に追い込まれていることはわかります。
では発注側のお話はどういった感じでしょう。
僕の立場はビルメンをやりながらも発注側の立場ですから、この理屈はよく知っています。
営業がお金を稼ぎ出すわけですから、企業内では志向の立場となっていることが多いようです。その中でも売れる商品を扱うポジションの社員は「ポジションバリュー」という格差によって優遇されます。野球場でいくらビールを売っても、企業枠で座席を売っている社員には敵わないって言うことのようです。
不景気になる前は、掃除の発注は「品質とコストの科学」を行うことで、いかに適正に良い状態を維持できるかを考えていました。しかし、いろいろな事情で「いかに減らすか」だけがミッションになってきました。業者さんに仕様減を告げ、コスト計算をお願いします。僕は現場でコスト計算は得意ですから、割に合わない計算が出てくると文句を言いますし、出来ないレベルの減額案が出てきてもおかしいので問い合わせます。
問題はここです。
普通の担当者さんは総務部庶務担当のマネージャーさんでしょう。
モップの絞り方や自動床洗浄機の能力、リース料金、素材別の作業時間など、詳しい分析は出来ないでしょう。
僕は現場の評価をするとき、朝の清掃現場に立ち会ってそれぞれのワークと一緒に歩いてみたり、定期清掃時の腕前を確認したり、フロアを洗浄機で回ったらどういうルートが好ましくていい結果を出せるかなど、出来るだけ詳細に現場をチェックします。
そうやってコストの算定を行っておかないと、無理な入札を受けてしまいますし、高額な請求を受けてしまったりします。
普通の発注者さんはこれを行わないし、出来ないでしょう。
なにも「俺すごい」と自慢をしたいわけではないんですが、ここにたくさんの問題が含まれているんです。
先に書きました「専門性」が祟って、他人事になってしまっているのです。
そして、お互いの立場の相違から相手を裏切ることになっている。
・おいしいと評判のお肉屋さんだから大丈夫だろうと信用したら、ダンボール入りの餃子を食わされた
・世界のマクドナルドだから大丈夫だろうと信じていたのに、鶏肉の扱いがひどかった
コストの壁というのは限界があるのです。
ある現場に「インスペクション」という名の視察に入りました。
業界で言うそれとは違い、仕様書をまもり約束を果たしているか、品質を生み出せる能力を有しているかチェックに入ったのです。
ここからはよくある話だと思います。
拝見したのは、ある地方のデパートです。
開店前の清掃で全体を掃除します。
エスカレーターの担当が2人、ツールは雑巾と自在箒だけでした。
トイレのスタッフはゲストが手を洗う水石鹸で洗面器をこすっていました。洗剤はもらえないそうです。
通路をバフがけするスタッフはベテランです。しかし維持剤は無くなっていて、タイルがむき出しでした。
催事場の天井にたまった埃が排気口を塞いでいました。
もう、何を見ていいのかわからないほどひどい現場でした。
作業計画表に仕様書が割り当てられていませんでした。
作業計画表の予定通り人数がいません。
仕様書の作業量の半分もやれていませんでした。
コストはどうか。
仕様書を計画表に落としこんで、人数や定期清掃を計画すると「安い」ことがわかります。
発注担当である総務部の課長さんに「やられてます」と報告しましたが、社内で自分のミスを発表するわけも無く、僕の視察は無駄に終わりました。
これが現実でしょう。
コストと実際のずれに気づけないことは、せっかくお金をかけて委託していることの意味を殺してしまいます。
なんなら僕が視察して、判断しますのでお声掛けください(笑)
お金を固定してくれても、最大のパフォーマンスを出せば良く、品質を固定されても最低限のコストに抑えれば言いだけの話です。
外部委託先の中身が腐っていると、だまされてしまいますね。
掃除屋の経営者も必死なんです。
過当競争に勝ってせっかく手に入れた現場で稼がなければなりません。
しかし、嘘をやって品質度外視の現場管理を行っていてはいけません。詐欺行為です。
発注者さん、コストを下げたいミッションは理解できます。
しかし「必要経費」というのは「必要」だから存在するのです。
不衛生な環境で商売しようというのならそれもいいでしょう。
相手を信じなくてもいいです。いつかそちらさまが信用を失うことになるのです。
企業理念
掃除、してますか?
先日、激しい夕立があって落雷の被害であちこち停電がありました。
パソコンなどの機器が壊れることが多いですが皆さん対策してますか?
これを書いているPCは当時AC回路につながってませんでしたので、大丈夫でした。
瞬間停電(瞬停)といって、電気の波形の一部だけでも止まると、弱電機器には大きな影響があるようです。
さて、今日のお題は企業理念です。
皆さんの勤めている会社にはありますでしょうか?「企業理念」
私が勤めてきた会社の中で、これを一貫している会社は残念なことにありませんでした。
企業理念というと難しそうですが、簡単に言うと会社が何をするのかを定めるものです。
またまた引き合いに出しますが、ディズニーは理念を曲げません。
アメリカの文化ではありますが、家に来てもらって楽しく喜んでもらって、また来たいと思ってもらえるようにすることがベースの考え方になっているようです。
夢のような時間を過ごして、帰宅するまで、あるいは帰宅しても尚、夢見心地になれる経験をしてもらったら、ゲストは幸せですよね。
これを理念においているから、パークに行くと幸せになれる材料がたくさんあるんでしょう。
有名な大企業発展の仕組みのほとんどに「企業理念」の役割があります。
夢のようなオートバイを作ったホンダ、自由な発想で欲しいけど無い物を作り出すソニー。
それはどんなことでもいいんです。
会社を始めるときに、僕は会社でこういうことがしたい。だからこうしよう。と、決めると思います。これが企業理念といえるでしょう。
そしてこれを一貫して守れないと、何をする会社なのかどんどんずれていってしまいます。
例えば、食品製造会社が「人々の健康を科学する」といった理念を掲げているとします。
すると、これを実行するために、もっと簡単な実行テーマが必要になってきます。
「人々が健康になるためには、安全であることが絶対条件である」
「人々が健康になり、幸せになることこそ専門科学である」
「おいしいと感じなければ健康でない」
「企業の存続と消費可能な価格帯を追求するために、我々は熟練したプロになろう」
行動倫理とかそういう名前で呼ばれることが多いようですが、理念を分解してわかりやすくやることを決めていくと、そうなるわけですね。
さらにそれらを現場の仕事に落とし込んでいくとマニュアルが生まれてくるのです。
さて、私たちの環境に置き換えて見ましょう。
「安全で快適な環境を創造する会社」これを理念に上げている会社は少なくありません。
ではブレイクダウンして見るとどうでしょうか。
安全とはどういった状態を示すのでしょう。安全という言葉は難しく、一定の基準を満たせばいいというものではありません。
今日より明日、明日より明後日のほうが安全になるよう、エネルギーをかけ続けなければなりません。
安全基準の上に胡坐をかいていれば必ず状況が変化して安全ではなくなるときが来ます。
快適とはどういうことを示しますか?
不快ではない状態を快適といえるでしょうか?
定義が曖昧な上に人によって受け取り方も変わってしまいますね。
むずかしいですよね?これ、会社に説明受けたことありますか?
企業が何をしたいのか、このあたりで具体的に決める必要がありそうです。
だって社員は何をするとほめられて、何が悪いことなのか、評価基準が曖昧になってしまいますから。
快適ということが、ごみが絶対に無いことを示したり、清掃クルーの姿をゲストに見せないことだったり、空調温度や湿度が一定だったり、証明の色温度、反響音、EVのスピードや視覚的な感じ方に至るまで完璧であることを約束すれば、それが基準となって、掃除や設備管理、内装設計ができるようになるのです。
この理念や行動倫理、ブレイクダウンされた現場のマニュアルこそ皆さんが働く上で最も重要な約束なんです。
他のスタッフが間違ったやり方や結果を出しているとして、どうやって注意しますか?
決まりごとが無ければ間違っているといえませんよね。
マニュアルは期待した結果が出なければ作り直します。理念に従ってベクトルを維持しながら見直せば必ず現状よりいいものが出来上がります。
この企業理念、直近話題になったO塚家具さんのお家騒動に見て取れますが、途中からやりたいことややるべきことを変える場合は「別企業」を立ち上げなければなりません。
初志貫徹、立ち上げたのなら最後までその期待にこたえる役割があるのです。それは顧客だけではなく、中で働く社員たちの評価基準でもあるのです。
そこしそれますが、企業は株式を公開して、投資家の言いなりになっていては本末転倒というものでしょう。
独自にお金を儲けることに長けているという力が投資家を誘うのです。
投資家に儲ける約束ばかりして本業の「理念」を曲げてしまうようでは企業として成り立っていないということです。
儲かることを理念や行動指針の中心に入れてしまうと、目的と手段の混同と似た状態になります。
企業ですから、儲かることは大前提です。しかしそれを企業理念においてはなりません。お金は結果なのです。
皆さんの会社が掲げる企業理念、もう一度見直して見てはいかがでしょうか。
その上で、求められている仕事を胸を張ってバリバリこなしていきましょう。少なくとも会社の中では重要な任務に当たるわけですから。
トイレのにおい
掃除、してますか?
王道のはなしはしないつもりだったんですが、たまたまある方にお話したついでに残しておこうと思います。
トイレのにおい、科学的に説明されると納得しちゃいますよね。
尿石の発生、バクテリアの繁殖とそのにおい、バクテリアと尿石は酸に弱い。
なるほどそれでサンポールは酸が効くのか。
そんなことです。
フラッシュ水が酸性に偏っていれば尿石の発生は抑えられる理屈なので、酸性に大賛成(ナンチテ)ですが、金属配管はどんどん痛んでしまいますね。
トラップに巣食った尿石を完全除去して、器も綺麗にすれば、理論的には臭わないはずですけど、臭ったりしますよね。
たいした事ないけど完全にといわれると、その原因の特定が難しいでしょう。
僕の現場である実験をしました。
実際に人間の嗅覚だけで評価して、いつ臭うか、何をすると効果があるのかを検証したんです。このQCは会社の大会で部門賞を獲得し、当時の社長に熱い感謝のお言葉と握手をいただきました。懐かしい思い出です(ちょっと自慢しておきますね)
期間を長く取り、計画します。
いつもひどい現場を対象とします。
最初の評価を5人で行いました。原因の特定をしたいので、いつのとおり清掃してもらいます。評価は上がりませんでした。
床洗浄を行ってもたいした効果が得られません。
ブレストで手法を出し合います。次々とテストを行っていき、最後には答えにたどり着きます。
意外だったのは、壁ににおいが染み付いているついているという事。
洗浄班の技術が低かったこと。
ケミカルはバイオが有効だった。
完全に取り去るときは酸を使う。
言い出すときりが無いほど答えは多かったです。
そして最後に「清掃するタイミング」がありました。
最後のお客さんが使用した後、清掃しないで翌日の朝を迎えるスケジュールになっていました。なるほど、掃除はできても発生のほうが強かったのか・・・・というオチです。
尿石は酸に弱い。バクテリアの繁殖を防ぐ。この事に着目してケミカルを選び、作戦を立て、対象の管理方法を確立しました。
しかしこれを続けて管理できる体制(スタッフの勉強とかね)が一番重要で難しいですけども。
しかし世の中にはこんなトイレも存在しますよね。
わが現場でもデモンストレーションで設置しましたが、「無水トイレ」という恐ろしいトイレが存在します。流さないんです。なんにも。
羽田空港の駐車場で見かけましたので、まだあるかもしれません。
このトイレのメカニズムを聞くと、尿石発生の原因は水道のミネラル分であるということです。なるほど。
水道水を使うと尿石が発生してバクテリアの繁殖を助けてしまうので、水は使わないでくださいというものでした。
実際は入れかわり立ち代り使われるトイレの場合、無水トイレは失敗でした。
水面は特殊な油の下にあり尿の気化も防いでいるのですが、便器そのものについた汚れを管理しきれないので、結局水洗トイレに切り替えました。
なんならミネラルを除去する機械(軟水機)がビルにはあるので、それを導入するとか、雨水を利用するとかすればこのミネラル問題は解消するのかな?とも思います。
配管スケールの問題も一気に解決できるので、どこか軟水装置経由でトイレのフラッシュを流しているビルがあったらぜひご紹介いただき、見学させていただきたいと思います。
科学的に説明されると信じてしまいますよね?
でも必ず正解という事でもなさそうです。実験君は明日の現場を創造します。
主任さんは自分のやり方にこだわらず、スタッフ全員の頭脳から情報を引き出して、実際の現場で実験して見ましょう。きっと答えは見つかるはずです。
大体の場合、人がしっかり掃除していないと駄目なようですけど。
雑巾の洗い方
掃除、してますか?
掃除に欠かせないのが雑巾ですね。
皆さん、雑巾をバケツで洗ったことありますか?プロにこんなこというとしかられそうですが、なかなかこれができるプロも少ないんです。(僕の現場は)
大型商業施設の僕の現場では、各階のシンクキャビネットがステーションの役割をしていました。そこにある程度の資機材を確保して臨機応変体制を敷いています。
開店前清掃を行って、片付けたはずのシンクキャビネットから午後になって異臭がすると連絡をもらい、見に行ってみると雑巾が生乾きで干してありました。
雑菌が繁殖して異臭を放っています。
原因はここを使うスタッフにありました。開店前であれば、片付けた雑巾は本部に回収して屋上の洗濯機で洗う約束です。しかし、そのスタッフは着替えや他の片づけを優先して雑巾を回収しませんでした。
日中、このステーションを利用して巡回清掃するスタッフは、ここで簡易的に雑巾を洗う必要があるため、漂白剤を置いてあります。におい防止のためです。
スタッフと同時に全部の雑巾を移動させれば問題ないのですが、それができない事情があったのです。
開店前のスタッフは、干せる設備があるし、そこにかけておけばいいと思ったのでしょう。雑巾は簡単ではありますが洗ってはありました。
そこで申し訳なかったのですが、そのスタッフに雑巾を絞ってもらってみました。
するとどうでしょう。シンクの蛇口から落ちる水に雑巾をあてて、簡単に揉んで絞ったではありませんか。それをみて合点がいきました。
ここで重要なのはこのスタッフの洗い方なんですが、もっと重要なのはそれを教える仕組みだったんです。
じつはこの事があったので、昼休みにみんなを呼んでそれぞれ雑巾を洗ってみてもらいました。けっかは恐るべき事態でした。
班長や主任、先輩と呼ばれている人たちでさえ、みな違うやり方、クオリティもさらなり。
どうするのが正しいかは現場毎にやり方があるとは思います。ですからここでこうしろああしろという事ではありませんが、せめて水を張った洗面器やバケツを使った方法を試して欲しいとは思います。
早速マニュアル作りが得意なスタッフにお願いして、やりかたマニュアルを作成しステーションに張り出すと共に、全員にいきわたるように勉強会を開催しました。
スタッフ全員というと200人を超えますが、何とか頑張って終わらせてもらいました。
洗濯機で洗う分量も、しっかり決めて教えておかないと大変な事態に・・・・
病院清掃とゾーニング
掃除、してますか?
衛生的じゃないと困る現場の代表に上げられることが多い病院ですが、病院内は病気の人が多いわけなので雑菌というより病原体汚染があるんですね。感染したら怖いから衛生管理は重要なんです。
実際どんな風にしているのでしょうね?
お見舞いに行って清掃員を見る事がありますか?
あまり見かけないのではないでしょうか。
清掃作業員そのものの存在が不衛生と見られてしまうので、客室に清掃員がいる事は稀です。
病院の現場には約束事がいろいろあります。
まず衛生管理レベルの区分けがあります。
これは最も衛生的でなければならない場所と、非衛生的な場所をしっかり区別することで、人や空気の往来、物品の流れなんかも規制しています。すごいですね~。
では一番綺麗な場所ってどこでしょう?わかりますよね?手術室です。
院長室と答えた方、少し疲れがたまってますよwww
雑菌や院内で処理した汚物などが手術室の片隅にあるとか、執刀医の通路に喫煙所があるとか、考えただけでも恐ろしいですよね?
一番汚いのは医療系廃棄物をふくむ廃棄物ゾーンです。バイオハザードマークの入っている専用の容器で廃棄される内臓や血液汚染された布や注射針など、危険な廃棄物がたくさん出ます。これを廃掃法もしくはビル管法にしたがって一時保管場所に保管しなければなりませんから、そこが最高にやばいゾーンです。
その間に、客室とトイレが存在します。
同じフロアに客室もトイレも存在しますが、これを隔離するわけには参りません。
衛生的に使えて、清掃できる仕様で作られている事が多いのです。一般のトイレと違って、ナースセンターの隣あたりにあることが多いですよね。
この区分けの事をゾーニングと呼んでいます。英語にしただけですけどね。
医療の現場では衛生と不衛生を区別する独特の決まりがあります。それを現場管理に当てはめた考え方が病院清掃というカテゴリーを生んだのですね。
よく講習会で話される事ですが、皆さんが受ける注射の話で、アルコールの脱脂綿をナースがピンセットでつまみますよね?あれで出てきた脱脂綿は既に不衛生のゾーンだそうです。容器から出た瞬間がその分岐点ですから、余計に出してしまった分は不衛生なので元の容器には戻せないルールです。
ごみ置き場の空気が手術室に入り込んできたら困りそうですね?
病院では空調もゾーニングで管理します。
特に衛生的な環境にしたい場所には特別なフィルターを付けた清浄機を使い、雑菌や病原菌に汚染されていない空気を補給します。部屋は陽圧(正圧)で保たれ、人が出入りする通路からの埃や雑菌の侵入を防ぎます。
清掃従事者はこういった仕組みをよく理解する事も重要ですが、一番重要なのは日々の業務ルールです。
まちがって普通のごみにドクターが注射器を捨てるかもしれません。
針刺しの事故は全然減らないそうですが、一生治らない病気をもらってしまう事だってあるんです。
ルールでは、廃棄物は容器ごと搬送し、ビニール袋と取り出す際には身体から離しながら作業し、針がある前提で気をつけることとなっているはずです。
しかし普通の病室を回り、先生のデスクからゴミ箱のごみを一緒に回収しても、そんな事になろうとは誰も思わないんですよね。で、事故る。
また、床の清掃では白癬だとか結核だとかの危険を考慮すれば、特に強い消毒薬を使っていつも滅菌していなければなりません??と思いがちですが
これも間違いのようです。
院内通路のレベルは通常のビルとほぼ同様の環境です。それを病院だから完全にしなければならないというのは間違いなんですね。
計算された頻度や方法をしっかり守って清掃していれば大丈夫なのです。
そもそも清掃に使われている洗剤には界面活性剤が入っていて、ほぼ消毒できてしまいますし、菌やウィルスのほとんどは汚れや埃を媒介して留まっていますから、綺麗に洗浄すれば除去できるのですね。
また我々の使命、役割としての清掃と、ナースが管理する衛生管理とは別物です。
いくら病院清掃のプロだからといって、ナースが行う消毒行為はビル清掃諸氏の行為とは別物なんですね。
ここから少しヒントをもらって現場やご家庭に生かしていただけると幸いです。
僕の現場でこんな事がありました。
あるフードコートのオペレーションでの出来事です。
スタッフがお客さんに声をかけられました
「あなた、それじゃ糞も味噌も一緒じゃないの。椅子を吹いた雑巾でテーブルを拭くのはおかしいと思わないの?」
はい、そのとおりですね。私たちはつい、床を拭く雑巾でテーブルを、便器を拭いた雑巾でドアノブを、拭いちゃうことがあるんです。
この事をきっかけに、僕は現場の雑巾色を分け、洗濯機や管理方法、保管場所などといった扱い方を分けました。
真っ白なタオルはお客さんの衣服が濡れた時用に各自持たせました。
最近は当たり前になってきましたが、トイレは赤という会社が多いようですね。
用具のメーカーも色分けできるシステムを作ってくれましたし、よく現場に目を向けてくれていると思います。